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一写入魂・珠玉の名作「前田真三の世界」

絵画展概要

 もしかしたら不確かなままでしかないのかもしれない、わたしたち人間のそれぞれの生。あるとき我執を離れて省みれば、はて、生きる意味とは何なのか、そも自分は何者なのか―。
 こうした問いはおそらく昔も今も、誰しもが心に秘めている普遍的な疑問なのではないでしょうか。それを絵筆で問い続けたひとりの画家がいました。その名は鴨居玲。没してはや25年、いまなおその作品は人の心を惹きつけてやまないのです。
 新聞記者の父のもとに生まれた鴨居玲は、金沢で幼年期を、のちに父の転勤にともなってソウル、大阪で少年期を過ごしました。戦後まもない時期に新設された金沢美術工芸専門学校(現在の金沢美術工芸大学)で画家宮本三郎(1905-1974)の教えを受け、大阪、神戸、ヨーロッパ、南米、と各地を遍歴しながら活動。41歳の時、当時画壇の登竜門だった安井賞を受賞して一躍脚光を浴びます。その後スペイン中部の小村、またその後に神戸、と居を移しながら人気作家としての道を歩みますが、高い評価と賛辞をうけるいっぽうで、生きるがゆえの懊悩にさいなまれてでしょうか、晩年には周囲に自死を予告して未遂するなどの奇行を繰り返すようになり、57歳の時、ついに自らの意思によってその人生を終えます。

 疲れ果てた廃兵、夢とうつつの境を失った酔っぱらい、虚空にたたずむ建造物、皺にまみれた醜い老人....、暗く重い画面に照らし出されるように劇的に描かれた人物たちの、眼窩の影に隠れた視線の向かう先を読むことはできない。この画家が描く人物は実はほかでもない、モデルに仮託した自画像。そして、人々が彼の作品に共感をおぼえるのは、それがわたしたち自身の姿と重なるからなのです。
 本展では鴨居玲の初期から最晩年に至る、油彩画を中心に約80点の作品を展示いたします。

鴨居 玲 略年譜

1928金沢市に生まれる。父悠は新聞記者。三人きょうだいの末子だった。
194618歳金沢美術工芸専門学校予科に入学し洋画を専攻。講師だった画家宮本三郎の教えを受けた。
194820歳第2回二紀展に初出品し、入選。
194921歳父死去。第3回二紀会で入選し同人に推挙された。
195022歳金沢美術工芸専門学校を卒業し上京。会社勤めをしながら二紀会に出品した。
195123歳勤めていた会社を辞め大阪に転居、母姉と暮らした。
195224歳田中千代服装学園(芦屋市)の講師となった。また、画家田村孝之介が主宰する六甲洋画研究所で後進の指 導にあたった。
195931歳渡欧。パリで活動。
196133歳帰国。二紀会を退会。
196234歳第6回シェル美術賞展で佳作賞を受賞。
196537歳ブラジル、ボリビア、ペルーを旅しパリへ渡った。
196638歳パリからローマへ渡り帰国。
196739歳退会した二紀会に一般応募者として出品、再び同人に推挙された。
196840歳大阪日動画廊で個展を開催。
196941歳第4回昭和会展で優秀賞を受賞。第12回安井賞受賞。
197143歳スペインに渡り、ラ・マンチャ地方の小村バルデペーニャスにアトリエを構えた。
197244歳母死去。
197345歳第27回二紀展で文部大臣賞を受賞。
197446歳パリで初めての個展。第1回東京国際具象絵画ビエンナーレに招待出品。スペインからパリへ居を移した。
197547歳アメリカで最初の個展。
197749歳帰国。神戸に居を構えた。 第20回安井賞で選考委員を、また二紀会委員をつとめた。
197951歳第1回明日への具象展に実行委員として出品。
198052歳神戸市文化賞を受賞。
198153歳第3回日本秀作美術展に出品。
198456歳母校である金沢美術工芸大学で非常勤講師として講義を受け持った。
198557歳神戸の自宅にて死去。

開催情報

2010年4月10日(土)〜6月13日(日) [開館時間]9:30〜17:00(入館は16:30まで)
[休館日]火曜日 ※5/4、6/1、6/8は開館します。
[入館料]一般・大学生800(720) 高校生・中学生500(450) カッコ内は8名以上の団体料金
[主催]河口湖美術館 [協力]財団法人日動美術財団

会場

河口湖美術館 〒401-0304 山梨県南都留郡富士河口湖町河口3170
TEL 0555-73-2829
[アクセス]
・富士急行河口湖駅から路線バス「甲府駅行」「大石プチペンション村行」のバス停「河口湖美術館前」下車徒歩約7分 
・河口湖周遊レトロバスのバス停「河口湖美術館」下車すぐ 
・中央自動車道河口湖I.C.から約15分 無料駐車場有り
http://www.fujisan.ne.jp/kgmuse/


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